「新・方法」第32号

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「新・方法」第32号

寄稿と作品からなるEメール機関誌「新・方法」第32号をお届けします。今号の寄稿者は、本誌第2号でもご寄稿いただいた美術史研究者の石井香絵さんです。石井さんは7月に20202にて歌手のseiさんとの二人展「seikae展」を開催予定です。

[寄稿]

無個性のバリエーション
石井香絵(美術史研究者)

新・方法の「新・」の部分について考察したい。新・方法は自由な表現を禁じ、方法自体を目的としている点で(旧)方法と共通している。しかし(旧)方法の主義である「快楽を惹起する要素の排除」を無効としている点で差異があり、「新・」を成す大部分がこれであるように思う。新・方法はただトランプをしたり海水浴をするなど、楽しそうに見える活動が少なくない。だが楽しいかどうかは重要ではなく、楽しむのが一般的な場合はそうするという自由の新しい禁じ方だと考えられる。

新・方法にとって、優先されるべきは個性をもたないことではないだろうか。個性をもたないための最良の方法は、工夫をしないことである。新・方法の活動は工夫をしないこと‐具体的には「内容をもたない」「選ばない」「模倣する」の三つの態度から成り立っている。

「内容をもたない」例としては「新・方法主義宣言」の同語反復、時間を伝えるだけの「鳩時計」、や曜日のお知らせ、オークション自体を目的とする「新・方法オークション」が挙げられる。「選ばない」例としては「新・方法主義第三宣言」の単語の列挙が挙げられる。「模倣する」例としては、(旧)方法に倣った宣言や機関誌の発行、ハイレッド・センターの「ドロッピング・イヴェント」をふまえた「アップローディング・イヴェント」、アノニマスに倣った「街頭清掃作戦」が挙げられる。このように新・方法の活動は無個性の変種である。

なお余談ながら、「選ばない」結果として滝行や「新・方法主義第三宣言」など、これまでの楽しさを取り返すかのように苦行を遂行している点も彼らの見どころである。

[新・方法主義者のウェブ作品]

- 平間貴大

冗談

http://hrmtkhr.web.fc2.com/new-method/032_j.html

解説無し

- 馬場省吾

入力と出力 第八番

http://7x7whitebell.net/new-method/shogobaba/032_j.html

「にゅうりょくとしゅつりょく だいはちばん」は、きーぼーどじょうでのにゅうりょくが、そのまましゅつりょくされている。

- 皆藤将

質問

http://masarukaido.com/newmethod/b032_j.html

無数の質問を記述した。これらの質問は、私が思いついたものを淡々と書き連ねていったものである。質問内容や、質問数に、特定の意図はなく、回答も用意していない。

[お知らせ]

- 「早起き」 http://7x7whitebell.net/new-method/earlyrising_j.html

- 「ジグソーパズル」 2013年6月30日、公開制作およびライブ映像配信 http://7x7whitebell.net/new-method/puzzle.html

- 「新・方法」はウェブサイトを更新しました。 http://7x7whitebell.net/new-method/

- 平間貴大はウェブサイトを更新しました。 http://hrmtkhr.web.fc2.com/

- 馬場省吾はウェブサイトを更新しました。 http://7x7whitebell.net/

- 皆藤将はウェブサイトを更新しました。 http://masarukaido.com/

- このEメール機関誌の配信をご希望のかたは編集者または新・方法主義者にご連絡ください。

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[編集後記]

中ザワヒデキは立教大学にて『「方法」と「新・方法」』という講義を行っています。6月には「方法」元メンバーがゲスト出演しました。7月には「新・方法」が出演予定です。
方法主義の発案者である中ザワは、現在一定の距離を持って「方法」に言及し始めているようです。 (M)

発行人

平間貴大 @qwertyu1357

馬場省吾 @shogobaba

皆藤将 @kaido1900

機関誌「新・方法」第32号 日本語版

2013年7月4日発行

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