「新・方法」第34号

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「新・方法」第34号

2013年9月4日、「新・方法」は「新・方法主義じゃんけん宣言」を発表しました。この日をもって、「新・方法」は結成3周年を迎えました。
寄稿と作品からなるEメール機関誌「新・方法」第34号をお届けします。今号の寄稿者は、本誌第1号、第23号の寄稿者でもある、本誌3度目の登場となるギャラリストの松下学さんです。
なお、今号より、機関誌「新・方法」は隔月での配信となります。次号は2013年12月4日に配信予定です。

[寄稿]

新・方法は考えない
松下学(ギャラリスト)

その独特で謎めいた佇まいからは意外なことに、新・方法には実験性が何一つない。彼らは特定のアイデアを示しそれを単に実行に移すのみで、意欲的な仮説や省察がすっかり欠けている。彼らの行いについて思い込んだり考え込むのは観客の方だ。新・方法は考える人というよりは行動する人である。新・方法は自ら考えず、すでにあるカテゴリを利用する。私たち観客はそれを忘れがちだ。自らの考えと彼らの行いを混同してしまうほど、考えすぎるのだろう。

それでは彼らの最新の宣言について考えてみよう。三周年となる2013年9月4日に新・方法は単にじゃんけんのルールを記述した第四宣言「新・方法主義じゃんけん宣言」を発表した。また、彼らはこの発表のやや前後に実際のじゃんけんを披露している。このように対応する実践を備えている点で、第四宣言は同語反復かつ自己完結している過去の三宣言との特筆すべき違いがある。この意味で第四宣言は彼らのいつもの作品により近く、彼らの活動における宣言というものを否定しているようにさえ見える。

さて、それはどのように実践されただろうか?8月31日には東京・恵比寿のbar MUDAIでの林香苗武「ブルー美術館ル」展のクロージングアクトとして、新・方法は十分毎にじゃんけんを行い、平間4勝、馬場7勝、皆藤2勝という記録を残した。9月9日には東京・桜台のpoolでの齋藤祐平「ロバ群」展示会場内での直島岳史主催の公園コンサートでのパフォーマンスとして、新・方法は1秒に2、3回、十分間じゃんけんを行い、大数の法則によりほぼ均等に近づいたはずの多数の結果を残した。

ひとつの考え方として、この前者の不均等な分布と後者の収束を併せ見て、イデアの世界を巡りながらも決してそこに達することはない私たちの有限な世界における避けがたき雑多さを示すものとして捉えることもできる。この隔たりは理論と実践を結ぶ本質的な関係であり、それは彼らのすべての作品に共通し、これまでの宣言にとって相容れないものだ。第四宣言は彼らの作品と宣言の間で宙吊りにされている。しかし、それは結局正しくも正しくなくもない。なぜなら新・方法は自ら何も考えていないからだ。

[新・方法主義者のウェブ作品]

- 平間貴大

解説無し

http://hrmtkhr.web.fc2.com/new-method/034_j.html

解説無し

- 馬場省吾

3つのリンクのあるウェブサイト 第一番

http://7x7whitebell.net/new-method/shogobaba/034_j.html

「3つのリンクのあるウェブサイト」では、1つのウェブページに3つの異なるリンクがあり、用意された全てのウェブページを辿ることが出来る構造となっている。第一番では、そういった構造の中でも最もページ数の少ない、4ページのウェブサイトとなっている。

- 皆藤将

材料

http://masarukaido.com/newmethod/b034_j.html

食品名を四つ記述した。この食材を用いれば、日本の伝統的な料理である「味噌汁」を作ることができる。

[お知らせ]

- 「新・方法主義じゃんけん宣言」 http://7x7whitebell.net/new-method/manifesto_rps_j.html

- 「新・方法 in pool」 http://7x7whitebell.net/new-method/pool_j.html

- 「新・方法」はウェブサイトを更新しました。 http://7x7whitebell.net/new-method/

- 平間貴大はウェブサイトを更新しました。 http://qwertyupoiu.archive661.com/

- 馬場省吾はウェブサイトを更新しました。 http://7x7whitebell.net/

- 皆藤将はウェブサイトを更新しました。 http://masarukaido.com/

- このEメール機関誌の配信をご希望のかたは編集者または新・方法主義者にご連絡ください。

- このEメール機関誌は転送自由ですが、著作権は放棄されていません。

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[編集後記]

2013年9月4日に「新・方法」は結成から三年を迎えました。今後も「新・方法」をよろしくお願いいたします。 (M)

発行人

平間貴大 @qwertyu1357

馬場省吾 @shogobaba

皆藤将 @kaido1900

機関誌「新・方法」第34号 日本語版

2013年10月4日発行

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