「新・方法」第1号

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「新・方法」第1号

2010年9月4日に3名の新・方法主義者の起草により、新・方法主義宣言が発表されました。そして、10月4日からEメール配信機関誌「新・方法」を創刊します。毎号ゲスト1名に寄稿を依頼し、毎月4日に刊行していく予定です。第1号の寄稿者は、批評家で10月にご自身のギャラリーの開廊を控えているラド・コモンズの松下学さんです。

[寄稿]

つまらない芸術
松下学(ラド・コモンズ)

ざっくりいってみれば方法主義はつまらない芸術だ。

より正確には、多様な形式の様々な形態を貫く方法的論理を抽出するために趣向を排除するひとつの還元主義といえる。フォーマリズムは形式への還元により物質的本質に陥ったが、方法主義は方法への還元により構造的本質に陥るよう周到に設計されている。そこには革命的な昂ぶりや治癒的な安らぎのような趣きはないが、この不在は大衆ニヒリズムや大衆シニシズムにありがちな悲壮感を誘うための自己愛的な身ぶりではない。趣向の不在は、方法のみを欲する方法主義の命令を満たすための技法上の要請にすぎない。

新・方法主義は、各々の歴史と自我を有した作家たちの創意の戯れを御しきれぬまま潰えた先の方法主義の刷新である。この趣きに充ちた人間ドラマを「旧」として、新・方法主義はドラマの兆しを予め根絶するよう、その代行人たちをドグマに忠実な新・方法主義者に画一化する。

だから新・方法主義は揺るぎなくつまらない。人生のスパイスとしてはあまりに味気ない。過ぎた解釈を撒き散らしながらどういうわけかすべてを看破してしまえる超越的な感性に恵まれた情緒豊かなアートピーポーの清らかな瞳には、新・方法主義は救いがたくつまらないものに映るはずだ。しかしそれは、方法主義という趣向の不在を理論と実践の両方において履行する新・方法主義にとって、おもしろいとお気に召されるよりも遥かにマシな辱めだろう。

[新・方法主義者のウェブ作品]

- 平間貴大

昇順で並べられた十進記数法で用いる十種類のアラビア数字

http://hrmtkhr.web.fc2.com/new-method/001_j.html

昇順とは、値の小さいものから大きいものへと向かう順序である。

十進記数法とは、10を底とする記数法である。

アラビア数字とは0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9の十種類の数字である。

- 馬場省吾

鏡の中のカメラ、またはカメラの中の鏡

http://7x7whitebell.net/new-method/shogobaba/001_j.html

カメラ … 写真・映画撮影、テレビ収録などに使われる装置の一つ

鏡 … 自分自身を見ることができる特殊な硝子の一つ

"Longman English Dictionary"より

- 中ザワヒデキ

ソースと実行第一 - 四番

http://aloalo.co.jp/nakazawa/newmethod/b01/j.html

コンピュータープログラムの実行結果よりも、ソースプログラムそれ自体が作品であるとかねてから考えていた。同様にウェブブラウザ上での実際の表示よりも、HTML文書それ自体が作品であると今も考えている。「ソースと実行」は、HTML文書すなわち「ソース」と、そのブラウザ上での表示すなわち「実行」を、併置し作品としたものである。

[お知らせ]

- 新・方法 on 棚ガレリ(2010年10月10日-20日 棚ガレリ)http://7x7whitebell.net/new-method/tanagallery_j.html

- 為替介入(2010年9月21日)http://7x7whitebell.net/new-method/intervention_j.html

- 「新・方法」はウェブサイトを更新しました。http://7x7whitebell.net/new-method/

- 平間貴大はウェブサイトを更新していません。http://hrmtkhr.web.fc2.com/

- 馬場省吾はウェブサイトを更新していません。http://7x7whitebell.net/

- 中ザワヒデキはウェブサイトを更新しました。http://aloalo.co.jp/nakazawa/

[編集後記]

「新・方法」第1号はいかがだったでしょうか?一般的なメールマガジンと違い、ずいぶん体裁がシンプルだったと思いますが、私はこのシンプルな体裁にこそ新・方法主義者の気質を見て取れるのではないかと思っております。(皆藤)

発行人

平間貴大 @qwertyu1357

馬場省吾 @shogobaba

中ザワヒデキ @nakaZAWAHIDEKI

編集人

皆藤将 @kaido1900

機関誌「新・方法」第1号 日本語版

2010年10月4日発行

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