「新・方法」第29号

「新・方法」第29号

寄稿と作品からなるＥメール機関誌「新・方法」第29号をお届けします。今号の寄稿者は、元『美術手帖』編集者であり、現在はフリーでご活躍中の阿部謙一さんです。阿部さんはＣｈｉｍ↑Ｐｏｍ作品集『ＳＵＰＥＲ　ＲＡＴ』、展覧会図録『会田誠：天才でごめんなさい』の編集者でもあります。

[寄稿]

編集・者・失格
阿部謙一（編集者）

1994年4月に某出版社に勤めはじめた俺は、いちど別の出版社に転職して、結果的には13年のサラリーマン編集者を経験した後、2007年4月からフリーランスとなってもいまだに「編集者」を肩書きとしているので、当たり前のように編集関係の仕事に日々追われながら、「編集作業として引き受けたなかで執筆や代筆もしているし、編集にまで踏み込まない執筆のみの仕事もなくはないから、編集だけやってるわけではありませんがね」という気持ちもないわけではないのだが、そうはいっても肩書きが編集者だから、執筆のみの仕事というのはそれほど多くはなくて、そこでふと思い出すのは、最後に会社を辞めた時期に異動の話が進んでいたことで、そのことに関しては話すと長くなるから全部すっとばすけど、「編集という仕事を続けたいから、会社を辞めるわけではない」といっていたことは嘘ではなかったのに、どうやらその啖呵とは整合しない生き方をしているかもしれないなどと思いつつ、それはそれでしかたないみたいなビミョーな成り行きだったりすることと、編集者と執筆者は別の生き物という思い込みが世間にはあるらしいなどということを、身を以てちょいちょい感じたりしているときに、「新・方法」から原稿依頼を受けたのであるが、よりによってめちゃくちゃ忙しい時期に重なっちゃったし、たしかに何を書いたらいいのかまったく思いつかないし、「どうしたものか」などと苦慮した結果がこんな阿呆のような原稿だったりするものだから、「やっぱり俺は依頼原稿を執筆するよりも、編集作業をしているほうが応分かもしれない」などと弱気になりつつ、「とはいえ、俺だって、文章はそんなにへたじゃないし」などとうそぶきながら、この原稿がじつは依頼された内容にまったく応えていないという事実と、規定の文字数を大幅に超過していることを眼の前にして、これは編集者を名乗る者の執筆原稿として最低だと思っている。

[新・方法主義者のウェブ作品]

[お知らせ]

新・方法「5,849円」展を開催中です。（2013年3月16日-2013年4月27日［日曜、祝日休み］、伏見地下街ショーウインドー6番、7番、名古屋） http://7x7whitebell.net/new-method/5849yen_j.html

- 「新・方法」はウェブサイトを更新しました。 http://7x7whitebell.net/new-method/

- 平間貴大はウェブサイトを更新しました。 http://hrmtkhr.web.fc2.com/

- 馬場省吾はウェブサイトを更新しました。 http://7x7whitebell.net/

- 皆藤将はウェブサイトを更新しました。 http://masarukaido.com/

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[編集後記]

名古屋で新作展「5,849円」が開催中です。タイトルは先頃行われた新・方法オークションの落札金額でもあります。是非お出かけ下さい。 （Ｍ）