寄稿と作品からなるEメール機関誌「新・方法」第41号をお届けします。今号の寄稿者は、『前衛の遺伝子─アナキズムから戦後美術へ』の著者である美術史家の足立元さんです。
もしアートに方法があるのなら、それは世界の見方とほとんど同じだろう。
それは退屈な格言に似ているかもしれない。しかし、未だに、分かっていることよりも、分からないことのほうが多い。
アートについては、少なくともこういえるだろう。
偉大なものがしばしばクソで、小さなものがときに大きな存在価値を持つ。
実物よりも、複製されたもの、失われたものが力を持ちうる。
古いものが新しくなる。あるいは、新しいものが歴史になる。
論理的なものは醜い。あるいは美しいものは非論理的だ。しかし、醜さにも魅力はある。
社会的なテーマが純粋なものになる。
性的なものがマジメ。あるいは、善意を振りかざすものが俗悪である。
ありふれたグローバル・スタンダードよりも排除されたローカル・ミュータントに価値がある。
一生に数度しか味わえないが、全身が震えるような体験がある。だが、徐々に喜びは薄れ、幻滅していく度合いも深まっていくだろう。それでもアートを求めるのならば、病という他ない。
世界もまた常にアートに病んでいる。アートの方法とは、自らの病を押しながら、世界の様々な症候に抗うことだ。
重層的記号行列 第一番
http://7x7whitebell.net/new-method/shogobaba/041_j.html
前作の『重層的数字行列 第一番』では、数字の意味内容と視覚的な大きさという二つの層を重ねあわせ、論理空間としての行列を構成した。
今作では、その重層を更に推し進め、記号の数、視覚的な大きさ、記号の色、記号の背景の色、そして地の色という五つの要素を層として、論理空間を構成している。
言葉
http://masarukaido.com/newmethod/b041_j.html
媒介としての言葉自体を作品にしたいと思った時、自分で適当なフレーズを考えてそれを作品にしようと考えた。しかしそれでは、私がその言葉を選んだ意図や考えなどが前面にでてきてしまい、本来の意図とは違った作品になってしまう気がした。そこで今回は試みとして、日本人が書いたある小説から任意の一節を抜き出し、それを作品とした。
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11月21日に発売された中ザワヒデキ著『現代美術史日本篇 1945-2014』(アートダイバー)に新・方法が言及されています。翻訳は機関誌前号の寄稿者でもある松下学氏が担当しています。是非ご覧下さい。
詳細:http://artdiver.moo.jp/?p=746(M)
平間貴大 @qwertyu1357
馬場省吾 @shogobaba
皆藤将 @kaido1900
機関誌「新・方法」第41号 日本語版
2014年12月4日発行