寄稿と作品からなるEメール機関誌「新・方法」第59号をお届けします。今号の寄稿者は、プログラマーでアーティストのucnvさんです。
「方法」という語はオブジェクト指向プログラミング(OOP)の世界では特別な意味を持つ。
方法とは、一塊のプログラムである。それは、実行可能であり、引数を取り、時に状況に変化を加え、実行結果を返却する。以前それは、関数やルーチンや手続きなどと呼ばれていた。OOPでは、その呼び名は唐突に方法へと変わった。オブジェクトをデータ型として採用したことによって、その名が要請されたのだ。
一般的なプログラミングにおいては、起こりうる現象もそれを取り巻く環境もプログラムの中にあらかじめ記述されなければならない。OOPも例外ではない。しかし、現実においては自明な通り、オブジェクトとは自身が置かれる環境によってその状態や振るまいを変化させるものであり、方法もまた無数のトライアンドエラーを経て定式化されるものである。OOPにおける方法はすでに記述された定義であり、実行の中でトライアンドエラーを試みることができない。
それは、OOPが自らの中に生み出した矛盾である。オブジェクトをデータ型などにしなければ、関数を方法などと呼び替えなければ、その矛盾は無かった。
だから、OOPは環境の想定外の変化に対応するため、クロージャやリフレクションやディペンデンシーインジェクションやAOPといったテクニックや仕組みをいくつも生み出したり取り込んだりしてきた。そしていずれ、OOPはオブジェクトが環境に合わせて自ら方法を書き換えるように進化するだろう。方法と環境は、運動系と感覚器系のように相互に結ばれていなければならないのである。
矢印記号 第二番
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矢印記号は多くの国で使われている、方向を示す共通記号である。方向を示す記号は、デジタル内に空間性を生み出す。本シリーズでは矢印記号を規則に従って並べ、視覚的に空間性を作り出す。
再制作:材料
http://masarukaido.com/newmethod/b059_j.html
2013年10月4日発行の本誌第34号で発表した私のWEB作品「材料」を再制作した。
参考)機関誌「新・方法」第34号 皆藤将ウェブ作品
材料
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食品名を四つ記述した。この食材を用いれば、日本の伝統的な料理である「味噌汁」を作ることができる。
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2017年11月3日(金)から沖縄科学技術大学院大学で人工知能美学芸術展が開催されています。今号の寄稿者ucnvさんも出品しています。
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皆藤将 @kaido1900
機関誌「新・方法」第59号 日本語版
2017年12月4日発行