寄稿と作品からなるEメール機関誌「新・方法」第62号をお届けします。今号の寄稿者は、ライターで編集・展覧会企画などをされている筒井宏樹さんです。
美術批評家クレメント・グリーンバーグは、諸芸術の自己批判の過程としてモダニズムを捉えた。さらに彼は諸芸術の本質をメディウムの独自性に見出し、諸芸術が約定を捨て去る過程で、つまり別の芸術から借用されたさまざまな要素を捨て去る過程でその本質が明らかになると考えた。
だが、周知のようにグリーンバーグは、「任意の物体」にまで還元される一歩手前に踏みとどまることで立ち現れる「視覚的イリュージョン」に絵画のメディウムの本質を見た。ロザリンド・クラウス等が指摘するように、グリーンバーグは、絵画のメディウムの本質を物理的な次元から視覚的な次元へとスライドさせた。いや、むしろメディウムの本質への還元という議論は、「任意の物体」という物理的な次元と、「視覚的イリュージョン」という視覚的な次元が折り重なっているとも考えられる。グリーンバーグは、絵画のメディウムの本質を客体の側の問題、つまり絵画の支持体の物理的諸条件の問題として捉えていたが、後からさらに主体の側の問題、つまり観者の知覚経験の問題を補強したのである。
こうしたグリーンバーグの二重性は、彼のモダニズムを前提とするその後の多くの議論に混乱を招いた。例えば、ジョセフ・コスースは、その決定の背後にはつねに美的判断が存在する「趣味の批評家」としてグリーンバーグを批判したが、この指摘は部分的には的確であるものの、他方でグリーンバーグのモダニズムにはそれにとどまらないポテンシャルがあるともいえるのではないだろうか。
矢印記号 第五番
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矢印記号は多くの国で使われている、方向を示す共通記号である。方向を示す記号は、デジタル内に空間性を生み出す。本シリーズでは矢印記号を規則に従って並べ、視覚的に空間性を作り出す。
君だれニャ?
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あなたはペットを飼ったことはあるだろうか。尻尾を振りながら人懐っこくよってくる犬、ドキドキするほどつぶらな瞳で見つめてくる猫など、ペットたちの愛くるしいその姿には、誰もがつい写真を撮りたくなる(そしてInstagramにアップしたくなる)衝動にかられることだろう。
恥ずかしながらそれは私もしかり。先日、私が住んでいるシェアハウスの住人が近所で捨てられた子猫を拾って来たのだ。しかも二匹。その晩、私と他の住人たちは深夜三時まで眠気を忘れてその子猫たちと戯れた。本作品はその時にスマホで撮影した一枚である。
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日本の今夏は例年より暑くなると予想されています。6~8月に太平洋高気圧とチベット高気圧が日本付近に張り出して重なることで猛暑となる可能性が高いそうです。気象庁によれば、6月は曇りや雨が多く、7月は晴れが多く平年に比べ気温が高くなる確率が50%と予想されています。みなさま、熱中症には十分お気をつけください。(新・方法)
平間貴大 @qwertyu1357
馬場省吾 @shogobaba
皆藤将 @kaido1900
機関誌「新・方法」第62号 日本語版
2018年6月4日発行