自律するCMYKの各インクによる線分
「試験管によるリアライズ」第一番
Line Segments by Each Autonomous CMYK Ink,
"Realized by Examiner No.1"

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2009年 立体作品 255本の試験管、試験管立て、CMYKの各インク 2009, 255 test tubes, test tube rack, CMKY inks for printer.
7220mm * 170mm

再展示版 in white cube

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越後妻有アートトリエンナーレ版 in The Echigo-Tsumari Art Triennale

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『自律するCMYKの各インクによる線分』「試験管によるリアライズ」第一番は、越後妻有アートトリエンナーレ内の『克雪ダイナモアートプロジェクト』の一つとして展示された作品である。また、2009年10月に北千住某所のホワイトキューブ内において再展示された。

この作品の外観は、733cmほどの長さをもつ試験管立てに立てられた255本の試験管の列である。試験管の中には(プリンター用の)CMYKのインクが、ある単純な数式から導き出される規則によって混色されている。

CMYKのインク、つまり色表現はプリンターという「実用」のために作り出されたものである。CMYという理論的にはどのような色でも表現できるという色表現に基づき、それにKという黒に近い色を加えて再現度を上げたのがCMYKとなっている。勿論そのインクは普段人が触れるようなものではないし、一般家庭用のプリンターの場合には紙媒体以外の印刷をすることはほとんどない。その特別な用途のインクを、本来人間が行っていた「描く」という行為を仲介させて、「混色された色彩の並び」を実現させることを目的としている。現代では多くの人、特権化した言い方をすればアーティストでさえ、CMYKの色表現を使わざるを得なくなっている状況がある(RGBの色表現もあるが、今回はCMYKという減法混色を主題とした)。3Dにしろ2Dにしろ、コンピューター・グラフィックスが出現して以来、我々にとって正確に描くことは極端に容易になった。例えば正確な円はコンピューターに任せることが的確である。ベクターの概念は特にイデア的だ。そうしてコンピューターを使用するメディア・アートの流れに対して、その問題点や(それを使用する人が)無自覚である面を強調しなければならない。だからこそ表現形態にコンピューターを使用せず、あえて「物」としての液体そのものを扱った。

試験管に混色する順序は、数式によって自らの恣意性を排除するためである。その数式については特にここでは書くことはしないが、「単純な数式によって多様な結果を生み出すように」、加えて四色という枠の中でバランスが取れるように作り出した。結果として255回の単純でない変化を繰り返した後、それ以降はその255回と同じ変化がループすることになった。だからこそ255回でストップ、とした。加えて、初期値の組み合わせが24通りあるため、その内の最も初期値番号が若いものを初めて作品化したため「第一番」とした。これはシリーズとなることが理想である。

試験管の中で混色した理由としては、試験管というものは本来「液体同士を混ぜて、それを外側から見られるように」開発されたもので、もう一つの使い方として、少量の液体同士の実験と、それを順序として並べるために試験管立てが存在しする。だからこそ今回の「混色」と「順序」を主題とするに当たっては適切であると言える。

一列に並べた理由として、絵画とは二次元を主題とする「絵画」の前提として、「一次元」のレベルまで純化して題を問う必要があると考えたからだ。(ある程度の)二次元という平面のフレームを前提とした絵画は、一次元も既に前提としている。それならばむしろ、一次元という線のフレームでも「物」を作ることが出来るのではないかと考えられる。だからこそ「混色」と「順序」は一つの集合体として一次元として捉えることができる。一次元化にあたり、最小単位を決定する必要がある。何故ならば様々な形や別の軸が出来た瞬間に、それは二次元以上になってしまうからだ。その最小単位を、今回は「全く同じ形をした試験管一本」と定めた。「試験管一本」を最小単位をとして決定すれば、一次元化を行えると結論付けた。そうして有限の最小単位の順序によって、線分が出来上がる。線分とは二点に挟まれた連なる集合である、と定義されている。こうした定義を行い、この作品内だけで閉じた世界を作り上げる。そうして作り上げた物が、「線分」になり、一次元と言うことが出来る。ちなみに先述しておくと、数学上の言葉と差異があることは、数学の文脈ではない言葉を使用している点にある。正確にはこの閉じた世界での定義は、数学の言葉をある点において借用しているに過ぎない。

以上が、この作品を制作した理由である。

2009年7月27日 July 27, 2009

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