「新・方法」第55号

「新・方法」第55号

寄稿と作品からなるＥメール機関誌「新・方法」第55号をお届けします。今号の寄稿者は、美術作家であり、2017年3月に出版された『絵画検討会2016ー記録と考察、はじめの発言』の編著者である高田マルさんです。

[寄稿]

自問自答
高田マル（美術作家）

【人物紹介】
Ａ氏は「ただただ作る人」で、Ｂ氏は美術作家。
Ａ氏は絵を描き、Ｂ氏は絵を語る。
Ａ氏は可能であることを実感していて、Ｂ氏は可能であるかを考えている。
Ｃ氏は社会人。

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Ａ：なんか居心地悪い

Ｂ：帰りますか？

Ａ：いや、帰りませんけど…

Ｃ：始めましょうか。まず、普段の活動について教えてください

Ｂ：筆致を集めて描きを作っては消したり、その絵の崩壊期限（素材の耐久年数）を題名で明示したりしています

Ｃ：それは、どういう意図で？

Ｂ：描きはいっときの集まりだということです。いっとき集まって、意味を成し、見る者の意識を創発する。そして崩壊していく

Ｃ：去年の7月に開催された絵画検討会2016は、どのような展示だったのでしょうか

Ｂ：私は呼びかけ人でもあり参加作家でした。私を含めた5人の作家でそれぞれ作品を展示し、打合せや会期中のトークなどで言葉を交わし続けました。詳細は記録誌を読んでいただければ…

Ｃ：展示コンセプトを教えてください

Ｂ：私が代表して言葉を提示したのは、宣伝文の「これは、グループの結成ではありません。絵画存在に"描きながら"アプローチしている人に声をかけました。個々の発表にご期待ください」のみです。全体としては行いのすべてが過程であり、その過程を過程として提示し続けました。会期が終わると、予定通り、結論をむすぶことなく5人は散っていきました

Ｃ：そういうのって、アリなんですかね？

Ａ：あははっ。過程は美術ではない、と思いますか？

Ｃ：え？

Ｂ：私のサインはマルという名前にちなんで○印なんですけど、これは許可印なんです

Ｃ：はい？

Ｂ：私が押す○は、許可印なんです

Ｃ：うーん…、本日はここまでということで。出ましょうか。暖かくなってきましたけど、そのぶん花粉がつらいですね

ＡＢ：ええ

ＡＢＣ：ぶえっくしょんっ！

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[編集後記]

ＴＹＭ344さんが企画した「絵画検討会2016」の関連イベント「検討ｂａｒ」ではＴＹＭ344さんと共に「新・方法」メンバー平間がバーテンダーを務めました。
『絵画検討会2016ー記録と考察、はじめの発言』（アートダイバー）http://artdiver.moo.jp/?p=1873 （新・方法）